いつもブログを読んでいただきありがとうございます。たくさんの方から、もっと基礎的な現代中国に関することを知りたいというご要望をいただいております。皆様のご関心やお仕事に関係のありそうな最新の中国の特徴やインバウンドを「Today`s China」シリーズとしてご紹介しています。ご参考になれば幸いです。今回は中国人女性の年代差・地域差についてです。
訪日中国人のなかでも、女性は非常に重要な存在ですが、その関心や消費行動は、年代や地域によって大きく異なります。
一見「中国人女性」というひとつのカテゴリーに見えても、その内実は非常に多様であり、アプローチを考えるうえで、この違いを丁寧に理解することが求められます。
たとえば1950~60年代生まれの中高年女性たちは、建国直後の厳しい時代を生き抜き、文化大革命の混乱を経験してきました。共働きが当たり前だった社会の中で、家事と育児を担い、家族のために生きてきた彼女たちは、ようやく自由な時間とお金を手に入れ、今までできなかったことを「今こそ取り戻したい」と願う層でもあります。買い物や旅に積極的で、カラフルな服装やにぎやかな観光を好む傾向も見られます。

それに対して、1980〜2000年代生まれの若い女性たちは、一人っ子政策の恩恵を受け、高等教育や海外留学の機会にも恵まれ、親世代とはまったく異なる価値観を持つ世代です。特に都市部の女性は、洗練された感性を持ち、モノトーンやミニマルなファッションを好みます。無印良品の人気の高さも、こうした感覚と合致しているからこそです。
加えて、中国の戸籍制度に起因する地域格差も重要な要素です。都市部に暮らす女性たちは、日常的なストレスや都市化による疲れから、「癒し」や「秩序」を求めており、農家でリラックスする小旅行の「農家楽」が人気で、自然に囲まれた静かな日本の地方への関心が高まっています。
日本の温泉宿や農村滞在、ローカルなカフェや体験型観光などは、中国の「農家楽(のうかがく)」をアップグレードしたような存在として注目されています。
彼女たちにとって、日本の地方にある“何でもない日常”こそが、心から癒される非日常。清潔さ・静けさ・人との温かいふれあい—こうした価値を丁寧に伝えることが、共感を得る鍵となります。
“誰に、何を、どう伝えるか”。その精度を高めることが、インバウンド戦略における差別化につながるのです。
次回は「SNSでつかむ”映え”」についてお話をしする予定です。お楽しみに。
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