Today’s China② 中国は格差の大きい国 “誰に届けるか”が鍵

当然ながら、マーケティング戦略を考えるとき、自社製品のターゲットを特定します。ただ、外国人を対象とすると、ともすると欧米人や中国人は一括りにして考えがちですが、「誰に届けるか」を見極めることが何より重要です。特に中国は14億人の巨大市場で、都市・農村、世代間の格差が極めて大きい国です。平均値や漠然としたイメージでは、ターゲットは見えてきません。

中国には日本と同じような戸籍制度があり、それによって都市と農村の住民は区別され、異なる扱いを受けます。海外旅行に行けるのは、ほとんどが都市戸籍を持つ人たちだといってよいでしょう。その中でも、北京・上海・広州・深圳といった大都市の住民が訪日観光の中核層です。

例えば、1人当たり可処分所得の全国1位は上海で、7.8万人民元、約160万円。一方、31位の甘粛省では約2.2万元(約47万円)で、その1/3にも届きません。このように、中国の地域間格差は非常に大きく、「平均値」では本質がつかめないのです。

実際に上海の20~30代に話を聞くと、「タクシーは日本より安いけれど、食事や買い物は東京と変わらない。むしろ上海のほうが高いこともあるから、日本は安く感じる」との声もあります。

訪日している層は、日本人と同等かそれ以上の消費力と感覚を持つ若年都市住民なのです。価格の安さではなく、体験価値やブランド力で選ばれる傾向が強いことも理解しておくべきでしょう。

訪日中国人を「一括り」で捉えるのではなく、本当に来ている人たちのライフスタイルと背景に目を向けることが、インバウンド戦略の出発点です。

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